ソチオリンピックが閉幕しました。ベテランの葛西選手のメダルももちろん見事でしたが、羽生選手の金メダルをはじめとする、10台の若い世代のメダリストの誕生が目立つ大会でしたね。次のオリンピックも楽しみです。また、続いてパラリンピックが行われており、こちらも日本人選手が活躍しています。
オリンピックだけでなく、様々な大会などでも、もっとも優れた選手には金メダルが贈られます。いろいろな金属がある中で、なぜ「金」メダルなのでしょうか。また昔から「金貨」や「小判」などお金の材料として「金」が使われるのはなぜでしょうか。
鉄のクギなどが、時間がたつとさびることは知っていると思います。この「さびる」というのは、長い時間をかけて金属が空気中の「酸素」と結びつくことです。さびることによって金属はボロボロになり、弱くなってしまいます。実は、鉄だけでなく他の金属もさびます。
またさびるだけでなく、自然の中ではほとんどの金属がいろいろな成分と結びついていて、私たちが生活に利用できる状態の金属で存在することはまずありません。そのため、たとえば鉄鉱石のような、自然の状態から取り出した金属を含む「鉱石」から、金属成分だけを取り出すことが必要です。ところが金は他の成分と結びつくことはなく、自然の状態でも「金」として存在するのです。金を含む岩石があるようなところでは、川底などで「砂金」として「金」が採れるのはそのためです。ほかの金属ではそうはいきません。
また取り出したあとも、鉄のようにさびることはありません。それどころか、多くの金属を溶かしてしまう「塩酸」などのような薬品とも反応することはまずありません。つまり「金」はずっと「金」のままなのです。昔の人も、金が永遠に価値の変わらないものであることを知っていたんですね。
「金」のほかにメダルに使われる「銀」や「銅」も、金には及ばないもののとてもさびにくい金属です。銀はだんだん黒ずんでくるようなさび方をしますが、アクセサリーなどが全体にもろくなってしまうようなことはありませんよね。銅は、古い十円玉などで見ることがありますが、緑色をしたさびが出ることがあります。これは「緑青(ろくしょう)」とよばれ有毒です。でも、やはり鉄に比べればほとんどさびません。
現在ではアルミニウムやチタンなど、新しい金属が様々なところで使われていたり、ステンレスのように合金にすることでさびができにくくするなどの工夫がされています。しかし、昔から身近にあった金属の中では、「金」「銀」「銅」が変化しにくい順番だったわけです。
そのため、昔の人は「何とか金を作り出せないか?」といろいろな実験を繰り返しました。いわゆる「錬金術」です。しかしあくまでも「金」は「金」という一種類の純粋な金属(化学式Au)であり、残念ながら他の金属から作り出すことはできません。「金を作ることができれば大金持ちに慣れるのになぁ」なんて考えている人がいたら、残念でした。
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