だんだん暖かくなってきました。進級・進学を前に気持ちがウキウキすると同時に、そろそろ目や鼻がムズムズする人も出て来始めたのではないでしょうか?
そうです。花粉症です。花粉症に悩まされている人がだんだん増えているのには、いくつかの理由があり、現代人の免疫力(めんえきりょく)が低下していることも考えられますが、かつて国内でたくさん植林したスギの木が、海外産の材木に押されて放置されているため、以前に比べスギの花粉自体が増えていることも大きな原因だそうです。
スギの他にも、ヒノキも花粉症の原因になります。以前「チューリップやバラの花粉症ならかわいくていいのに....」と言った小学生がいましたし、そもそも「スギやヒノキって花が咲くの?」という疑問もあるかもしれません。
確かに、チューリップやバラ、カーネーションなどの花はわかりますが、スギやヒノキの花ってイメージがわかないかもしれませんね。でも、スギやヒノキも花は咲きます。ただ、チューリップなどのように目立たないのです。わかりやすいところでは、「松ぼっくり」はマツのめ花です。よく見ると、マツの枝の先端に若いめ花があり、その付け根あたりにお花をつけています。そのすぐ下に前年の若いめ花、さらにその下に2年前のめ花が「松ぼっくり」になってついています。マツと、スギやヒノキは少し様子が違いますが、同じようにお花とめ花があり、花粉はこのお花から大量に風に飛ばされるのです。
スギやヒノキは「風媒花(ふうばいか)」といい、風が花粉を運んでいます。その中で、たまたまめ花にたどり着いた花粉が、受粉できるしくみです。それに対し、チューリップなどは「虫媒花(ちゅうばいか)」と呼ばれ、主に昆虫が花粉を運んでくれます。虫媒花では、昆虫たちに気づいてもらえるようよく目立つ花が咲き、花粉を運んでくれた「お礼」として蜜を昆虫たちにプレゼントしているというわけです。昆虫たちが「花から花」へ花粉をピンポイントで運んでもらえるため、大変効率が良く、多くの花粉をつくる必要はありません。ところが、風媒花はまさしく「風まかせ」ですから、大量の花粉を風に飛ばす必要があります。
また、花粉のつくりも、「虫媒花」は昆虫たちのからだにつきやすいようにベタベタしていたりトゲトゲがついていたりしていて、風に舞うことがないので、花粉症にはなりません。それに対し、「風媒花」では風船のようなつくりがあるなど、風によって遠くまで運べるようになっています。さらに大量に花粉を飛ばすので、花粉症を引き起こす原因になるのです。
スギやヒノキ以外にも、目立たない花が咲く植物は花粉症の原因になることがあります。よく知られているのは「イネ科」の植物です。確かにイネの花って見たことがないような....。実はひっそり花が咲きますが、やはり「風媒花」なので目立ちません。ということは花粉症の原因になる可能性があります。
花粉を飛ばす植物たちも、生き残りのために様々な工夫をしています。花粉症の人は、医師の診断や薬、そして毎日はマスクなどで自衛するしかありませんね。
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